海外でのクレジットカード悪用のリスクとは

海外旅行や出張など、国外へ行く場合には治安の面で気をつけるべきことが多くあります。日本ではクレジットカード情報を盗まれることなど普通に生きていればありえないと言っても過言ではありませんが、国によってはそうではありません。

筆者も、クレジットカードではありませんが、アフリカ圏の国でスーツケースを知らぬ間に壊されたという経験があります。海外慣れしている方は十分注意していると思いますが、久しぶりに海外へ行く方など、日本にいる時と同じような感覚でいると困ったことに巻き込まれてしまうかもしれません。

今回は、実際にあったクレジットカードの悪用、不正利用例を中心に紹介し、その危険性についてお伝えします。

海外でのクレジットカードに関わる危険とその予防法

スリ・盗難に対する予防法

これはほとんどどの国でも起こりうると言っていいでしょう。台湾やイタリアなどで被害にあったという話を耳にしたことがありますが、やはり先進国でも気が抜けません。ターゲットとしては女性が狙われることが多く、相手も複数人で仕掛けてくることが多いようです。

財布をカバンに入れる場合はトートバッグなどの口が開いたバッグは避け、カバンを自分の体の前に持ってくると防ぐことができるでしょう。また、財布を二つ持っておくこともリスク分散のために効果的であるといえます。

高額請求に対する予防法

いわゆる「ぼったくり」です。中国での被害が多いようですが、一部ヨーロッパでも高いチップを要求されることがあるようです。お店に行くときは事前にインターネットで調べてから行くと安心です。筆者の友人が高いチップを払わされたレストランも、Googleのクチコミ欄で同じようなことを言っている方が何名もいたそうです。

ニセ警官による詐欺に対する予防法

これに関しては初見で見破ることがやや難しいかもしれません。ただし覚えておきたいのが、警察がいきなりクレジットカード番号を聞いてくることはない、ということです。相手が高圧的になったとしてもカードを渡すことはないようにしましょう。また犯罪予防の基本ではありますが、人通りが多く明るい大通りを通るとよいでしょう

カードゲーム詐欺に対する予防法

道端で声をかけられたのち、何かと理由をつけられて家などに来るように誘われてギャンブルのようなゲームをやらされることがあります。そこではゲームに負けるように仕組まれており、金銭を要求されるという流れになっています。信頼できない人の家には何があっても行くことのないようにしましょう。

色仕掛けによる盗難に対する予防法

現地の風俗業等に従事する女性から声をかけられ、何らかの理由を作りカードを使わせる中で暗証番号を盗んだり、盗み見するというものです。更衣室などから財布の中のカードを抜き取られてしまい、盗まれた後はすぐに利用されてしまうことがあります。会話の中でクレジットカードという単語が出た場合には注意が必要です。

駅の券売機での盗難に対する予防法

ヨーロッパなどの鉄道切符を買う券売機で、「現金に対応していなくて困っているため現金と引き換えにカードを使わせてほしい」などと言われ、流れでクレジットカードを取られるというものです。犯人が手練れの場合は、犯人自身がが財布を預けてくることもあり、相手が悪者だと思えないような状況を作り出してきます。

誤った操作をした後に、切符が買えないから係の人に聞いてくるなどと言ってそのまま逃走されるような流れで盗難を成功させます。もちろん、話しかけてくる人の多くは良い人ですが、まずは警戒心を持って疑うことも必要です。

ゴルフ場での盗難に対する予防法

プレー中にロッカーを開けられ、荷物からカードが抜き取られてしまうことなどがあります。タイやセブ島、バリ島などは日本人にとって人気のあるゴルフ場を有しています。値段も日本のゴルフ場よりも安いこともあるので、比較的気軽に利用できます。

しかし、ロッカーの設備はあまり綺麗に整えられていないことも多いのが現状です。更衣室にカメラはありませんし、人も多くありませんので、比較的簡単に盗まれてしまうことは容易に想像できるでしょう。ゴルフのプレー中も貴重品を携帯することが重要です。

タクシーでのスキミングに対する予防法

タクシーでの支払いで渡したクレジットカードをスキミングされるというものです。オーストラリアで事件の報告が挙がっています。スキミングにはスキマーと言われる機械が必要ですから、ドライバーさんのクレカの扱いから目を離さないことが大切になってきます。

ATMでのスキミングに対する予防法

ATMでキャッシングをする時などに、カードの挿入口に取り付けられたスキマーによってスキミングされるというものです。さらに、小型のカメラにより入力した暗証番号を見られてしまう、というものもあります。比較的人通りの少ないATMが細工されやすいので注意が必要であり、また暗証番号を盗み見られることは、手元を体で隠したりすることによって防ぐことが可能です。

クレジットカードを悪用されてしまったら

カード会社に補償してもらえる

上記のような被害にあってしまった場合は、すぐにクレジットカード会社に連絡し、利用停止の申請をしましょう。窓口は24時間対応している事が多いので、被害に気づいたらすぐに連絡することが大切です。

不正利用に対してはカード会社に補償をしてもらうことが可能です。そのため、現金を持ち歩くよりはカードを持つ方がセキュリティ面で安全であるとも言えるかもしれません。

補償対象外となることも

暗証番号は基本的に本人しか知り得ない情報ということになっていますので、それが漏れて不正利用されていた場合は、責任が本人にあるとみなされてしまうことがあります。暗証番号を他人に推測されやすい数字にしたり、どこかにメモしておいたり、メールなど記録に残るものに記載したりすることなどはやめるようにしましょう。さらに、治安のよくない国では暗証番号の盗み見にも気をつけることが必要です。

また、クレジットカード裏面のサインがないと補償に応じてもらえないことが多くなります。これは国内外問わずですが、裏面には自分のサインをしておくようことを徹底しましょう。

加えて、不正利用の報告が極端に遅い場合や、不正利用者が親族の場合にも対応してもらえない可能性が高いと考えられます。不正が発覚して2ヶ月以内であれば基本的に問題はありませんが、その期間を過ぎてからの報告では遅すぎます。親族による利用に関しては、利用者が本人ではないという意味においては不正利用であるものの、利害関係が一致する間柄であることも多く、カード会社としても補償し難いのは容易に想像できます。

悪用に繋がってしまうクレジットカードの問題点

このような不正利用が起きてしまうクレジットカードには、やはり問題点があります。それは、本人でなくても暗証番号が分かれば利用できてしまうという点です。

本人確認は、識別→認証→認可の3段階を経てなされています。識別は、利用者が誰かというのを判断することで、ここではキャッシュカードやクレジットカード自体を指します。認証はその利用者が本当に本人なのかを確かめるために使われます。ここでは暗証番号がそれにあたります。

以上の二つをクリアすると認可され、利用可能になります。認証の段階で求められるものが暗証番号である限り、本人でなくてもその数字を知っていれば利用できることになります。

そのため、これからは暗証番号による認証は少なくなり、虹彩や指紋による認証が増えることや、クレジットカードではなくスマホ決済が普及することが予想されます。スマートフォンはすでに指紋・虹彩での認証に移っていることから分かるように、技術的には可能になってきています。また、スマホ決済に関しても、先進国を中心に広がりを見せています。

例えば中国では2018年の段階で6割が現金を持ち歩かないというアンケート結果が出たこともあり、現金お断りの店舗も珍しくありません。これは、クレジットカードやATMの利便性が低いことが普及を後押ししたとも言われています。

日本でも政府主導でキャッシュレス化を推進しているので、この先ますます広まっていくでしょう。PayPayやLINEPay、楽天Pay、メルペイなどがしのぎを削っているのはみなさんもご存知のことと思いますが、こうした機能に注目していくことも大切です。

海外でのクレジットカードの悪用に注意しましょう

ここまで海外でのクレジットカードに潜むリスクについて書いてきました。補償面、利便性では現金より優れているものの、悪用のリスクが伴います。実際にあった事例にも目を向け、注意して利用する必要があります

また、これからはクレジットカード以外の決済手段の方法も広まると考えられますので、そういった決済手段にも目を向けていくことが必要です。

正しい知識を持ち、クレジットカードに潜むリスクを軽減できるようにしましょう。

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